今でこそフラデバにどっぷりハマっていますが温水FFへの転機となった魚はカワムツとブルーギルなのです。
僕がフライフィッシングを始めたのは90年代。ま、ぶっちゃけ、ブーマーです。アウトドアショップなんぞが誕生し、街の量販釣具店にもフライコーナーが新設され、フライのできる管理釣り場が続々とオープンした時期であります。巷では「環境」やら「エコ」とか言ったもん勝ちの空気があって、そんな時流に乗った企業のイメージアップ広告に意味もなくフライフィッシングの風景が使われたりもしました。
一緒に始めた釣り仲間達とワケのわからん専門用語や謎とも思えるタイイング方法について語るは楽しかったものの、いざ実釣となると悩ましい問題。1)ブームで人多すぎ。 2)餌釣りとの競合。 3)管釣は料金と人口密度が高過ぎる。今思えば右も左もわからず迷走していました。
漁協が撒いて釣り人がワっと押しかけ釣って終わりの観光潮干狩りのような状況に疑問を持ち始めた頃、中流域に釣人の居ない空白地帯を発見。なのに魚はウジャウジャ居ます。キャストするとフライに高反応。釣れる!釣れる! その魚の正体はカワムツ。なにこれ!?超楽しいんですけど。不人気魚バンザイ。吾輩の辞書から「外道」の2文字が消えた瞬間でありました。
釣友にこの話をしたら賛同を得てカワムツFF時代の幕開けです。年券買って通いました。稚鮎に混じり拡散した魚なので「ある意味漁協が放流した魚」ですが管理されてる気配はなく、数年間買い続けた年券を提示する機会は一度もなかったけれど、こんだけ楽しませてくれるなら「お金を払ってOK」な気分にさせてくれました。カワムツを持ち帰る物好きは居ないので安定した魚影。おかげでシーズナルパターンを満喫できました。夏に木が作るオーバーハングにテレストリアル系のフライを落とすとデップリ太ったランカーが飛び出し興奮ものです。
「ゲリラ豪雨」なんて言葉が誕生した時代。なんだか各所で護岸工事が盛んになりました。「お金を回す為に公共工事は必要なんだろうけど何もこんな場所をあんな風に護岸しなくてもいいのになぁー」ってのは「釣り人ぼやきあるある」ではないでしょうか? コンクリの隙間にたくましく生える雑草のような印象のカワムツでしたが、意外と繊細な一面をもつようで護岸の川への適応能力が乏しい生き物だったようです。あっ!と言う間に釣れなくなってしまいました。新天地を探すも上手くいきません。
鮎と山女の間にあるバイストン・ウェルのような超ニッチ釣り場は探すと意外とないもので、僕の乏しいオーラ力ではなかなか見つけられません。釣れてもサイズが小さかったり、鮎釣り場で毛針禁止だったりします。オイカワならイケるかなぁ、とやってみるもパっとせず…。
釣欲が満たされぬまま禁漁期を迎え漂着したのが秋の霞水系でした。基本的に海区なので内水面のような禁漁期間がありません。当初はウグイ狙い。しかし釣れたのはブルーギルでした。
このブルーギルという魚、カワムツ同様、専門に狙う釣り師がまず居ません。しかし当時は霞水系ブルーギル全盛期。釣り人の意思に関わらず各所で釣れてしまっている。バスアングラーは「なんだギルかよ!」と嫌そうだし、餌釣り師は釣れるそばから叩き殺し死骸の山を構築しています。どんだけ居るんだよ! しかもフライに高反応。そして引きはカワムツの比じゃありません。
これはカワムツを彷彿とする、いや凌駕する夢のフライターゲットではあるまいか。西山徹さんがフライで釣るのを本で見たことあったけど、ここまで楽しいとは想定外。興奮してカワムツの時と同様に釣友を誘うも、今回はあまり賛同してもらえませんでした。ま、フラデバ仲間でさえ霞マッディウォーターは苦手という人が居るくらい。フライにハマる人が好む水質でないのは確かです。
とにもかくにも、霞ブルーギルFFに大いにハマったその秋を経て、ポイントと釣り方を工夫すれば氷が張る真冬でも釣れることを発見。なんせ全盛期。餌釣り師が築く死体の山が目印になってポイント開拓は簡単。釣って釣って釣りまくり。餌釣り師から「釣れたらちゃんと殺しといてくれよ!」と言われたら「は、はい…」と引き攣った笑顔で返事したものです。
飛ぶ鳥を落とす勢いで霞水系全域に領土を広げたブルーギル帝国も長続きしませんでした。釣果がガクっと落ち、餌釣り師が作る死骸の山もとんと見なくなりました。不思議なものです。移入直後のドバっと増える余所者は分相応(?)な数に落ち着くんですね。当時、小型ポッパーにジュボジュボ出たポイントも今や鯉が優勢種。前述、護岸工事のせいにしたカワムツも、ひょっとしたら琵琶湖からやってきた直後の一時的繁栄かも知れません。
今でもブルーギルは釣れますが、サイズ小さく捕食も地味になった印象で、豪快な吸引バイトは影を潜めました。当時はイケイケドンドンのバブルだったのでしょうか?
一時期は夢中になったブルーギル。数が釣れなくなるに従い忘れ去り、気付けばバスの魅力に取り憑かれてしまった次第。
しかし真冬に群れてる場所を見つければ連発できると知り再注目したのが数年前。釣りモノに困る真冬に何十匹も釣る快感に酔いしれました。
しかし、これまた長続きはしないものです。この冬は特にダメでまったくと言っていいほど釣れてません。そのブルーギルが久しぶりに釣れました。夕マズメの最終曲面にようやくチクっとアタル渋い釣り。厳しいですねぇ。
スマホはこちらからが見やすいです→youtu.be/rpwR0630s_8
今年は遠征してでも釣りたい魚です。