ダブルクラッチのやり方
しかし「何故クラッチを2回踏む必要があるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか?ニュートラルで1回クラッチを繋ぐことに、どのような意味があるのか? そのメリットは何か?これを機に絶滅の一途を辿るM/Tへ関心を持つ人が増えることを願います。ダブルクラッチをマスターすればトルコンA/Tより遥かにスムーズなシフトダウンが可能なんですよ。(個人の感想です)
究極に単純化した2速ギアボックスを考えてみた。変速比は以下と思って頂きたい。
1速:2.0(ギアAとCが噛み合いエンジン2回転でタイヤが1回転する)
2速:0.5(ギアBとDが噛み合いエンジン1回転でタイヤが2回転する)
そんなギアボックがあるかっ!の突っ込みは自粛しましょう。あくまでも原理を解説する為のモデルである。本物に拘ると難解になってしまう。
図を見るにあたってのポイントですが、
黄色の部分 はエンジンから動力を受ける入力軸でクラッチ板と共に回転する。
赤の部分 はタイヤに動力を伝える出力軸でタイヤと共に回転する。
まずはシフトアップ。ギアA を ギアC から抜きたいのだが、トルクがかかった状態で抜くと、機械的負担で各所を傷めるので、まずはアクセルOFFしクラッチを切る。
1速ギアを抜きニュートラルへ。シフトチェンジというと、ギアが出たり入ったりするイメージを持ってた人が多いのではないでしょうか?確かにそうなのですが、図のように軸位置は変わらず、横スベリするだけである点に注意して頂きたい。
ニュートラルから2速へ、つまりギアB を ギアD に入れるのだがひとつ問題がある。1速から抜いた直後はBの歯の速度は Dの歯の速度より速いのでギャー!っとギアを鳴かせるばかりで入らない。さてどうしましょう?
結論からいえばシフトアップにダブルクラッチ操作は不要で、ちょっと待つだけよい。
図をみると 赤の部分はタイヤから、つまりクルマが慣性で走ってるので動力を得てるが黄色の部分は何処からも動力を得てない。オイルの流動抵抗により、ほっとけば遅くなり、ちょっと待ってば回転が合ってしまうのだ。
さらに好都合なことに、アクセルOFFでエンジン回転も下がるので、全体の協調がとれてしまう。2速へシフトしクラッチを繋ぎシフトアップは完了。
<おまけ>
実際のギアボックスは、シンクロが補助してくれるので、ちょっと待つのも不要で、即座にシフトアップしてかまわない。
ここからが本題です。ダブルクラッチはシフトダウンにおいて効果絶大なのです。
シフトアップは完了しましたが、目前にコーナー(又は上り坂)が迫ってきたので、2速から1速へシフトダウンすべく、クラッチを切りニュートラルにしました。次にギアA を ギアC に入れたいのですが、さて大問題です。
2速から抜いた直後の Aの歯の速度は Cの歯の速度より遅いのでギャー!っとギアを鳴かせるばかりで入りません。
さらに困ったことに、 黄色の部分はオイルの流動抵抗によりどんどん遅くなり、AとCの歯の速度差は広がるばかりです。赤の部分はタイヤと共に回転しているので、クルマが走ってる限り、待てど暮らせどギアは入りません。さてどうしましょう?
シンクロを持たない図のギアボックスの場合、クルマを減速せずシフトダウンする方法は一つしかありません。クラッチを繋ぎエンジンを中吹かし(瞬時的なアクセルON-OFF)して黄色の部分を加速させます。
ダブルクラッチはギアを加速させる操作です。
人間の操作はタイムラグが生じるので、ちょっと余分に回しておくのがコツです。
神業的に回転が合い、運良く歯の凸凹がピッタリ揃えば、クラッチを切らずにブチ込めるはずですが、そう上手くはいかないので、もう一度クラッチを切った後に1速に入れます。
クラッチを繋ぎ完了。
好都合なことに、(その2)でエンジンに中吹かしを入れたので、エンジン回転とギアの回転も合っているので、シフトショックなく、じつにスムーズなシフトダウンが完了します。
エンジンをかけ1速から発信する時のお話です。貴方はどっち?
べつにどっちでも良いのだけど、たぶん 2. のほうがシフトが楽に入ります。貴方のクルマでも簡単に試せるので、両方やって差を体感してみて下さい。(安全装置で2.しかできないクルマもあるようです)
<理由>
クルマは停止状態であるので 赤の部分の出力軸は止まってます。クラッチを切らずにエンジンをかけると黄色の部分の入力軸が回ってしまいます。
シンクロは、同期をとるべく、回ってしまった入力軸を止める方向に働きます。最初から入力軸が回らない 2. の方法であれば、シンクロの仕事がほとんど無いから、シフトが楽に入ります。
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