釣りは面倒くさい趣味である。向き不向きがあって誰でも楽しめる娯楽ではないと思う。過去に何度かブームがあったが続けているのは極一部のマニアだろう。
さてBCL。これまた面倒くさい趣味でラジオも高いときたもんだ。今、短波ラジオを買おうと思えば2,000円でおつりがくるが当時は10倍の値段がした。その分作りもゴージャスで少年に夢と希望を与えるものだが、高いものは高い。小遣い溜めても買える見込みはなく「お年玉一括払いの借金」やらなんやら当時思いつくあらゆる金策を合計してなんか手に入れた記憶がある。
興味を持つも「そんな高いもん買ってられねーぜ」で挫折した者も多かったと思う。ぃゃ挫折じゃなく懸命だった。もっと有意義な金の使い道があったはず。しかし当時から私はバカだったのだ。のめり込んだ。
後発組の裕福な家の子で私から見れば簡単にあっけなく手に入れた連中もいた。しかしそんな子ほど早々に飽きてしまったようです。海外放送を聴くのは簡単でないのだ。
まず情報が必要。海外放送って四六時中送信してるわけではない。せいぜい1時間程度。いつ、どの周波数で、何処の局が放送するか調べる必要がある。もちろんネットなど無い時代。専門誌や電気店のチラシ等から情報を得た。単なる番組表と思って頂ければよいがタイムテーブルと呼ぶのがカッコよかった。
次に外部アンテナ。これ重要。ラジオ内臓ロッドアンテナは基本的にFM放送を受信する為のものであって短波放送には役不足。具体的には短波放送の波長に対し長さが足らない。8番フライロッドに3番ラインが乗らないのごとく、この内臓アンテナに短波は乗らない。無理すりゃ多少はキャストできるのがアナログの面白いところだが基本的には外部アンテナが必要だ。
ここでアンテナ豆知識。地デジ化でご自宅のアンテナを取り換えた方も多いだろう。魚の骨のような例のやつである(┣╋╋┫←こんなの)。地アナ用アンテナを鯛の骨に例えると地デジ用は秋刀魚のようにスリムである。骨一本の長さの理屈は難しいが計算式は物凄く簡単。小学生でも計算できる。
波長λ(m)=300÷周波数(MHz)
骨一本の長さ=波長λ÷2
地アナの周波数を大雑把に180MHz程度で計算すると骨一本の長さ ≒ だいたい80cm
地デジの周波数を大雑把に500MHz程度で計算すると骨一本の長さ ≒ だいたい30cm
だから秋刀魚のようにスリムになったんですね。勉強になりましたね。「大雑把」やら「だいたい」が多くてクレームが来そうだが6番ロッドに5番ラインで釣りになるようにアナログとは基本おおらかなものだ。地デジだって電波そのものはアナログである。この辺を誤解しないで頂きたい。
さてBCL短波放送であるが周波数は大雑把に10MHz程度である。同様に計算すると。
骨一本の長さ ≒ だいたい15メートル
とてつもなく巨大。シロナガスクジラの何倍もの大きさの骨が必要。まず広大な土地を買わねば。BCLをやるには億万長者になる必要がある。なーんて事はなくてもっと簡単に作れる。じつはTV用の八木アンテナは高性能品でもっと簡素なもので実用になる。
八木アンテナの本体はケーブルが繋がってる骨一本だけで残りは性能を上げる為のオプションと考えてよい。SFアクション物に例えると「奴の本体はあそこだ!ケーブルの付いた部分を狙え!」であり、エルメスに例えるとララァ・スン少尉が乗ってるのがケーブルが付いた部分で残りはビット(°O゜)☆\(^^;)わかんねーよ
要は骨一本だけで実用になる。アルミパイプである必要もなく15メーターの電線とラジオまで導く同軸ケーブルがあればよい。これを専門用語でダイポール・アンテナと呼ぶ。そんなスペース無いよ!の場合は半分の長さで済む接地型1/4λモノポールアンテナ、それを曲げ実用的にした逆L型アンテナが入門用であった。
実運用的には「だいたい」「大雑把」が効くアナログの世界なので適当な電線を適当に屋外に設置するだけでも内臓ロッドアンテナ比べ飛躍的に受信能力は増大した。この手の作業を面白いと感じるかクソ面倒くさいと思うかでこの趣味の評価は大きく分かれたのだ。
私はこの作業がとてつもなく面白くて電線を張りまくる日々。今フライフィッシングが好きなのは当時張りまくってた電線とフライラインが似てるからかも知れない。
(つづく)
そう言えば同時期に「生禄」にハマっちゃって。実は、BCLよりもこっちの方にかなりハマってました。
同じく叔父さん経由で手に入れた「デンスケ」肩にしょってマイク持ってありとあらゆる音を録りまくってました(笑)
手が届かなかったけど欲しかったなぁ。
叔父さん素晴らし過ぎます。